精密検査 = 転移
ではありません
治療を決めるために、しこりの大きさや性質、広がりを確認する大切な検査です。
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乳がんかどうかを調べる検査と、どこまで広がっているかを調べる検査は役割が違います。検査が増えたからといって、転移があると決まったわけではありません。
最初に知っておきたいこと
乳房の中で、必要以上に増える細胞ができる病気です。
多くは、しこりをきっかけに見つかります。しこりがあるからといって、広がり具合や治療内容まで分かるわけではありません。
細胞は通常、増える・働く・役目を終えるという流れを調整しています。その調整が崩れた細胞が増え、周囲へ入り込むことを浸潤、血管やリンパ管を通って別の場所で増えることを転移といいます。
乳がんは一つの性質だけではありません。病理検査で性質を調べることで、合う治療を選ぶ手掛かりが得られます。
これは日本の女性全体を対象にした統計で、2023年のデータに基づく目安です。本人のこれからを決める数字ではありません。「珍しいことではなく、検査や治療の仕組みが整っている病気の一つ」と知っておくための数字です。
「8人に1人」は、国立がん研究センターの最新がん統計(2023年データ)にある、日本人女性の生涯罹患リスク11.8%を読みやすく表したものです。統計は更新されるため、出典ページの最新値も確認してください。すでに診断を受けた本人のステージや、治療後の見通しを表す数字ではありません。
乳がんは患者さんが多い分、検査・手術・薬物療法・放射線治療などの経験と研究が積み重ねられています。実際の治療は、検査結果と主治医の説明で決まります。
いまは、治療を選ぶための情報を集める時間です。
しこりなどをきっかけに、乳がんかどうかを調べます。
診察、マンモグラフィ、超音波などで、しこりの場所や形を確認します。
大きさ・リンパ節・ほかの場所への広がり・がんの性質を確認します。
針生検などの病理検査で性質を調べ、必要に応じてCT・MRI・PET・骨シンチグラフィなどを組み合わせます。
先生と、いまの状態と治療の選択肢を整理します。
ステージだけでなく、ER・PgR・HER2などの性質、体調、生活や希望も治療を考える材料です。
状態・体調・本人の希望を合わせて、治療を選びます。
手術の前に薬を使う場合も、手術の後に再発を抑える薬を使う場合もあります。順番は人によって異なります。
英語・専門用語をやさしく
検査や説明で見かけやすい言葉を、「意味」「何のため」「注意点」に分けてまとめました。気になる項目だけ開いてください。
意味:磁石と電波を使って、乳房の中を詳しく見る検査です。
何のため:しこりの広がりや小さな変化を確認することがあります。
注意:全員が受ける検査ではありません。体内金属、ペースメーカー、妊娠、造影剤のことは先に伝えます。
意味:X線を使って、体を輪切りにしたような画像を作ります。
何のため:胸やお腹など、乳房から離れた場所の状態を確認することがあります。
注意:CTを受けることや、画像に影があることだけで転移が決まるわけではありません。
意味:糖に似た薬の取り込みなどを利用して、体の中の活動性を画像で見ます。
何のため:必要な場合に、全身の広がりを調べる材料にします。
注意:炎症でも写ることがあり、光った場所だけで転移とは確定しません。全員が受けるわけではありません。
意味:骨に集まりやすい薬を使い、骨の変化を画像で確認します。
何のため:骨への広がりを調べる材料になることがあります。
注意:画像だけで原因が決まるとは限らず、症状やほかの検査と合わせて判断します。
意味:針生検などで採った細胞・組織を顕微鏡で調べ、種類や性質を確認します。
何のため:乳がんの確定診断、浸潤の有無、グレード、ER・PgR・HER2などを調べます。
注意:画像だけで確定するものではありません。結果用紙の言葉は、主治医の説明と一緒に確認します。
意味:針などでしこりの細胞や組織を採り、病理検査に出します。
何のため:乳がんかどうか、どんな性質かをより確かに判断するためです。
注意:検査後の出血・発熱・強い痛みなどは、受けた病院の指示に従って連絡します。
意味:がんに関連する物質を血液などで測る検査です。
何のため:経過や治療の反応を見る補助材料になることがあります。
注意:乳がんや転移を、腫瘍マーカーだけで診断することはできません。
意味:エストロゲンという女性ホルモンを受け取る「受容体」があるかを調べる項目です。
何のため:陽性なら、ホルモンの影響を受けるタイプとしてホルモン療法を検討する材料になります。
注意:陽性・陰性は良い・悪いの点数ではありません。
意味:プロゲステロンというホルモンを受け取る受容体があるかを調べます。
何のため:ERと合わせて、ホルモンの影響を受けるタイプか、薬を選ぶ材料かを考えます。
注意:ER・PgRの結果だけで、ステージや本人の見通しは決まりません。
意味:がん細胞の表面にある、増殖に関わるタンパク質の一つです。
何のため:多い、または遺伝子の増幅があるかを調べ、陽性なら抗HER2薬などを検討します。
注意:遺伝性という意味ではありません。判定方法や薬の適応は主治医に確認します。
意味:調べた細胞のうち、増殖中の細胞がどのくらいあるかを見る目安です。
何のため:ER・PgR・HER2などと合わせて、性質や治療を考える材料にします。
注意:検査法や施設で差があり、全国共通の一つの境界値や、値だけでの判定はありません。
意味:ER・PgR・HER2・Ki-67などの結果を組み合わせ、乳がんを性質の近いグループに分けます。
何のため:どの薬が合う可能性があるかを考える手掛かりにします。
注意:サブタイプはステージとは別の分類で、分類名だけで個人の見通しは決まりません。
意味:顕微鏡で見た細胞の形や、元の細胞との違いを段階で表します。
何のため:性質や治療を考える材料の一つです。
注意:グレードだけでステージや治療、本人の予後が決まるわけではありません。
意味:細胞のDNAを修復する働きに関わる遺伝子です。
何のため:変化があるかを調べることで、治療や遺伝カウンセリングを考える材料になる場合があります。
注意:乳がんの病理サブタイプとは別の検査です。必要性や結果の伝え方を医療者と相談します。
意味:乳房の中だけか、近くのリンパ節か、離れた臓器まで広がっているかを表す区分です。
何のため:治療の順番や組み合わせを考える材料にします。
注意:症状やしこりの大きさだけで、自分で判断するものではありません。
意味:Tは乳房内の大きさ・広がり、Nは近くのリンパ節、Mは離れた臓器への遠隔転移を表します。
何のため:検査結果を整理し、病期を考える材料にします。
注意:検査中の見立てと、手術後の病理結果を含む見立てが変わることがあります。T・N・Mだけで自己判定しません。
意味:体の中のリンパ液が通る道にある、免疫に関わる器官です。
何のため:わきの下など近くのリンパ節を調べ、広がりの程度を考えます。
注意:近くのリンパ節への転移は、遠隔転移(M1)とは別です。腫れだけで転移確定でもありません。
意味:非浸潤は乳管や小葉の中にとどまり、浸潤はそこを越えて周囲の組織に入り込んだ状態です。
何のため:病理検査で、がんの状態や治療を考える材料にします。
注意:浸潤していることと、遠隔転移やIV期であることは同じ意味ではありません。
意味:元の乳がん細胞が血液やリンパを通って移動し、別の場所で増えることです。
何のため:どこに広がっているかで、全身に届く治療を検討します。
注意:「乳がんの骨転移」は骨のがんではなく、乳がん細胞が骨で増えている状態です。
意味:治療後、いったん見えなくなったがんが再び現れることです。
何のため:乳房や近くでの局所・領域再発と、離れた場所での遠隔再発に分けて考えます。
注意:診断時の転移と、治療後の再発は同じ場面を指す言葉ではありません。
意味:乳房から流れたリンパ液が、最初にたどり着きやすいリンパ節です。
何のため:手術のときに取り出して調べ、わきの下のリンパ節の状態を推測する材料にします。
注意:方法や省略できる条件は人によって違います。手術の説明で確認してください。
意味:手術の前に、抗がん剤などの薬を使う治療です。
何のため:しこりを小さくする、手術方法を選びやすくする、薬の効き方を見るなどの目的があります。
注意:術前だから手術できない、進行している、という意味ではありません。全員が行うわけでもありません。
意味:手術で見えるがんを取った後、必要に応じて薬を使う治療です。
何のため:検査で見えない小さながんが残っている可能性による再発を抑える目的があります。
注意:術後だから手術が失敗した、再発した、という意味ではありません。病理・ステージ・性質などで決まります。
意味:ホルモンの影響を受けるタイプに使い、ホルモンの働きや受け取りを抑える治療です。
何のため:ER・PgRなどの結果をもとに、再発を抑えることなどを目指します。
注意:ホルモン補充療法とは目的が異なります。使う薬や期間は人によって違います。
意味:がん細胞の特定のタンパク質や増殖の仕組みを狙う薬です。
何のため:HER2など、その人のがんが持つ目印に合わせて使うことがあります。
注意:目印がある人すべてに同じ薬を使うわけではなく、適応や副作用を確認して決めます。
意味:がんを攻撃する免疫にかかっている「ブレーキ」を外すタイプの薬です。
何のため:一部のサブタイプや状態で、ほかの治療と組み合わせて検討します。
注意:免疫療法が全員に合うわけではありません。体のさまざまな場所に炎症が起こる副作用にも注意します。
意味:がん細胞の目印に結びつく抗体と、細胞に作用する薬を組み合わせた薬です。
何のため:目印やサブタイプ、治療歴などが合う場合に検討します。
注意:免疫療法とは別の種類です。新しい薬だから誰にでも使える、という意味ではありません。
意味:痛み、吐き気、不安、生活上の困りごとなどを軽くするための治療・支援です。
何のため:がんの治療と並行して、本人らしい生活を保ちやすくします。
注意:「終末期だけのもの」ではなく、診断時から必要に応じて相談できます。
意味:今の主治医の診断や治療案について、別の医師にも意見を聞くことです。
何のため:選択肢や考え方を整理し、納得して決める助けにします。
注意:主治医を変えることや、今の病院をやめることと同じではありません。
意味:新しい薬や治療の安全性・効果を、決められた方法で確かめる研究です。
何のため:将来の治療をより良くするため、参加条件に合う人が参加します。
注意:参加は自由で、対象・利益・リスクを説明されたうえで決めます。
意味:将来、妊娠・出産できる可能性や力のことです。
何のため:妊娠・出産の希望がある場合、治療前に相談する大切なテーマです。
注意:治療内容や年齢で対応が変わるため、希望があれば早めに主治医へ伝えます。
意味:多くの研究と経験から、現時点で効果と安全性が確認されている基本の治療です。
何のため:一人ひとりの状態に合わせて、治療を考える土台にします。
注意:「簡単な治療」や「一番弱い治療」という意味ではありません。
がんが、どこまで広がっているかを表す言葉です。
検査の結果を合わせて決まります。自分で症状から判断しないことが大切です。
Tは乳房内の大きさや広がり、Nは近くのリンパ節、Mは骨・肺・肝臓など離れた臓器への遠隔転移を表します。これらを組み合わせて病期を考えます。
手術前の画像などで考えるステージと、手術後の病理結果を含めて見直すステージが変わることもあります。
がんの細胞が、元の場所から離れて別の場所で増えることです。
たとえば骨に転移した場合も、「骨のがんになった」のではなく、乳がんの骨転移として治療します。痛みだけで転移とは決まりません。画像の検査などで確かめます。
骨転移では、痛みや骨折、背骨での神経圧迫が問題になることがあります。乳がん全体への治療に加え、骨を守る薬、放射線、必要に応じた整形外科的な処置を組み合わせることがあります。
画像で気になる影があっても、炎症や良性の変化など別の原因があります。画像だけで決めつけず、主治医が必要な検査を組み合わせて判断します。
乳がんでは、手術、放射線を当てる治療、薬による治療を、状態に合わせて組み合わせます。手術の前に薬でしこりを小さくすることもあります。
どの治療が必要かは、ステージ、がんの性質、体調、本人の希望を合わせて決めます。
がんを取り除く治療です。乳房を残す手術と、全体を切除する手術があります。
腫瘍の場所や広がり、本人の希望などを考えて方法を相談します。放射線や薬物療法を組み合わせることもあります。
目に見えないがん細胞を抑えるために、手術後などに行うことがあります。
どの範囲に、どの時期に行うかは手術の内容や病理結果などで決まります。
飲み薬、点滴、注射など。がんの性質に合う薬を選びます。
タイプや状態によって、ホルモン療法、HER2を標的にする薬、抗がん剤、免疫療法などを検討します。誰にでも同じ薬を使うのではなく、検査結果に合わせて考えます。
はい。がんの性質に合わせて、
治療を選べるようになってきました。
乳がんは多くの研究と治療経験が積み重ねられてきた病気です。ホルモンの影響を受けるタイプに使う薬、がん細胞の目印を狙う薬、抗がん剤、場合によっては免疫の力を利用する薬などから、その人に合う方法を考えます。
「乳がん」と一言でいっても、性質はさまざま。検査は、合う治療を見つけるためにも行います。
分子標的薬や抗体薬物複合体(ADC:がん細胞の目印を狙って薬を届けるタイプの薬)など、がん細胞の特徴を狙う治療の選択肢が増えています。ただし、新しい薬が誰にでも合うわけではなく、ステージ・サブタイプ・これまでの治療・体調・副作用・保険適用などを踏まえて選びます。
検査結果を待つ間にできること
医師から特別な指示がなく、強い症状がなければ、普段どおりの生活でかまいません。
安静にすること自体で、がんの進行や転移を抑えると確認されているわけではありません。医師の指示がなければ、体調に合わせて無理のない活動を続けます。
生検などを受けた後は、運動・入浴・仕事について病院の指示を優先します。
強い痛み、発熱、出血など気になる変化があれば、我慢せず病院へ連絡します。
希望があれば、家族や友人に付き添ってもらい、メモを取ると整理しやすくなります。
「確定したこと」「次に分かること」「今日決めなくてよいこと」を分けて書くと、帰宅後に整理しやすくなります。
安静にすること自体で、がんの進行や転移を抑えると確認されているわけではありません。医師の指示がなければ、無理のない仕事・家事・散歩などを体調に合わせて続け、急に強い症状が出たときは予約を待たず相談します。
予約を待たず相談する目安:急に強くなる痛み、強い息苦しさ、胸の痛み、急な手足のしびれや力が入りにくいとき。
病院でそのまま使える
全部を一度に聞く必要はありません。まずは「いまどういう状態か」と「次に何が分かるか」を聞ければ十分です。チェックはこの端末に保存されます。
必要な項目だけ選んで使ってください。全部聞けなくても大丈夫です。
覚えておきたいこと
「乳がんである」と分かったことと、「どこまで広がっているか」は別の話です。分からない言葉は、そのまま先生に聞いて大丈夫です。
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